この手の趣味をしていると、修理や小物製作の際世話になるのがハンダである。
ハンダには賞味期限があるのはご存知だろうか。
機電メーカ工場では、製品に使用されるハンダは厳密に管理し、使用されて
いるのは周知の事実であるが、個人使用レベルではどのように管理すれば良いの
だろうか。
(例として、高信頼で定評のある石川金属のGXMシリーズ※)
・ハンダの正味期限(保管期限)とは
糸ハンダの組成はローズ非対応の製品であれば、鉛、スズ、フラックスなどが
主要な構成材料である。(他にも添加剤など微量入っている)
鉛が含有されているので、非活性材料と思われがちだが・・・
一般的にメーカ推奨の、長期保管期限は1年半~2年程度までが限界である。
この期間を超えると、ハンダの濡れ性低下やフラックスの飛散が大きくなり
(シュッと溶けない、煙のニオイがキツくなるetc)など変化が目に表れる。
これは、酸化が原因である。
また2ヶ月もハンダを空気中に放って於くと、表面の輝きが失われ見る角度に
よっては薄っすらと黒変しているのが見えると思う。
これも酸化だ。
他にも、湿度サイクルの繰り返しも地味にハンダ性能を劣化させる原因でもある。
酸化したハンダはペーパー等を当て、酸化皮膜を除去して使用する方法も
あるがヤスリ粉がハンダ表面部にミクロン単位で混入するため、好ましい
再利用方法では無い。
・個人レベルでの管理方法
極端な話になるのだが、自分が1年間に使用するハンダ総量をご存知だろうか。
筆者の場合、1キロリールハンダを2巻半/1年で消費する。
(ステンドグラス製作者であれば、もっと使用するであろう)
この場合だと保管期限内で使い切る勘定なので、常にメーカ保障値を
担保するハンダ付品質が確保される。
しかし、使用後の保管環境はどうだろうか。
幾ら良い半田を用意しても、酸化が発生すると台無しにしてしまう。
以前から製作していて、効果の得られるものを紹介したいと思う。
リールホルダ型保管BOXである。
(ボックス内に入っているのは千住金属の機電メーカ向供給スペックの物)
名前は仰々しいが、単なるプラケースにリール供給機能とフタがついた
だけのものである。
制作費は108円。
見ての通りだが、リール芯をビスで保持して、供給口を開けているだけの
ものである。
(使用後は開口部を塞ぐ)
このボックスを作る以前は、使用後のリールをポリ袋に入れて密封している
だけであったが、袋に穴が開いたりして精神衛生上不適であった。
ボックスを使用をすると、スルスルとハンダを供給する事も出来、使用後は
供給口をセロテープで塞ぎ、外気も遮断可能だ。
(使い勝手は良好)
中に、乾燥剤(海苔の白い乾燥剤流用)を入れているので、湿気も同時に
除いてある。
効果は可也りあり、酸化は常に抑制されている。
そのお陰で、ハンダ表面はピカピカで気持ちよくハンダ付けに没頭可能である。
ボックスは簡単に製作可能なので、酸化が気になる方にお勧めである。