盆期間中に入ったせいか、自称首都圏組の車が多い。
この季節に成ると、東京は田舎者の集まりで有る事を再確認させられる・・・
ナイトCMから帰る途中、地理不案内の車両が釜を掘って多重事故を発生させ
大渋滞を引き起こし大迷惑である。
わざわざ田舎まで来て、事故を起こすとは巻き込まれる方も不運に思う。
途中で無線屋に立ち寄り、発注して置いた部品の引き取りを行う。
立ち話をすると、先日から特小トランシーバが4台も売れたらしい。
特小は仕切りが安いので、売れても儲けにならぬと店員の言。
アマチュア無線機を無免許で使うよりいいだろう・・・
何に使うか不明だが、特小は海上では100キロ程度飛ぶ場合もあるため
侮ってはいけない(笑)※
(※特小DXは運用が面倒なので、興味としては失せてしまったが・・・)
咽が渇いたので、コンビニへ立ち寄る。
レジには子供連れの客が列を成して居り、会計を終わるまでに時間が掛る。
全く疲れて仕舞う。
ようやくシャックに戻り、VT-101の電源を入れる。無音・・・
ノイズすら聴こえず、警戒していた夏枯れが始まったようだ。
仕方が無いので、10mAMが入感するまでFT-101の基盤修理を行う。
画像はPB-1184A(モジュレータユニット)で有る。
(割りとトラブルが起き易いユニットだ)
故障症状
・AMの出力が出ない。
・SSBの聴こえ方(送信含む)がズレている。
以上、複合故障の症状を呈して居る。
このユニットはSSB,AM,CW共通なので一度トラブルを起こすと
全機能マヒを誘発させる為、FT-101では一番気を使うボードだ。
画像の通り、一度 励振段回りのCRを交換したのだが真空管式無線機の宿命で
ヒートサイクルの急峻さで、やられている感じも否めない。
この時代の無線機は製造から45年以上経過しているので、年1回程度は
何かしらの不具合が発生する。
旧い技術なので根気良く、故障原因を探ると復活するのだがある程度
アナログ回路特有の合わせ込みや、ドリフトの収束方法等考えて修理しなければ
成らないのは云うまでも無い。
ここで、筆者が某メーカで技術サービスをしていた際に体得した故障探求方法を
公開したいと思う。ボード実装のパーツは壊れる順番があると云う事だ。
点検順番として・・・
・入出力回りのカップリングコンデンサや、ダンピング用抵抗の抜け、短絡
・トランジスタが絡んで居る場合は、GNDに落ちるライン
・入力電源、補助電源廻り
・ロジックの場合は、入力系から順番に当る
この順番で行うと、迷路に迷う事は無い。良く闇雲に周辺パーツを取り替えて
修理を行うと工数の増加や修理部品代の増大を招き、正常なモノまで交換し
肝心な故障を潰し切れず、社内でもチェンジニアとして汚名を着せられる
ハメに成る。そうなったらボーナスにも響き、仕事としてつまらなくなるだろう。
この辺のコツは、文章では説明しにくいので実際に経験を積む事が必要だろう。
アマチュア的には修理を楽しむと云う分野も在るが、筆者はお断りである(笑)。
さて、モードを切替えた所で早速点検に入る。
良く制御電源を投入して、実負荷を加えテスター等を用いて電圧のみで
故障ポイントを探る方法もあるのだが、旧い基盤には御法度だ。
(更なる多重故障を誘発する可能性がある)
点検を行うと、AM廻りではC12 0.22μF オープン故障
R8 2.2Kオーム R9 1Kオーム 抵抗値の増大
C30 30PF 容量不安定
不良部品点数は多いが、10分でこれだけ発見出来る。
早速交換したらAMのパワーは回復した。
ついでにTC4でキャリア発振周波数の合わせ込みを行うと綺麗なAM波が
オシロに現れた。
次に、SSBのズレだがLSB用クリスタルX2の経年変化でパラ留めされて居る
TC3 20PFが容量不足気味なので新規で10PFを追加で裏打する。
ついでにUSBの励振廻りのCも怪しい挙動をしているので、LSB同様に
10PFを打つ。※
(※本来ならXTALを新品に交換したい、内部のガスが抜けかかって居る)
(何かの拍子で水晶不発に成るかも知れない)
恐らく、これで完全に成るだろう。
トリマーを調整したら、中央位置でLSB,USBともマトモに成った・・
此処まで、30分。作業工数としては多いが短時間で修理出来た・・
嗚呼疲れた。これでまた電波を出す事が出来る。
FT-101の鬼門として、セラミックコンデンサの不良が良く挙げられる。
当時の製造方法や材料では後年パンクする個体が多い。
電源の投入、未投入に関わらず自然劣化するので対抗手段は交換しかない。
各局、ご注意を・・・