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Channel: 極私的10mAM 無線通信研究所
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AC100Vは本当に100Vなのか?

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3エリアの局長さん回路図インフォ有難う御座いました。この場を借りてお礼を申し上げます。

・・・あー、さて・・・

本日のテーマAC100Vの怪

この手の趣味をして居ると、世話に成るのが電源で有る。
当然の事だが無線機は電源が無くては成り立たない。
DCを作るにせよ、高圧を作るにせよ安定的でクリーンな電源を継続して
無線機に供給する必要性は今更論ずる事も無いのだが、少し気づいた点
を取り上げたい。

・嗚呼!FT-101 ファイナルバイアスが調整出来ない

先日メールで某局より尋ねられたのだが、FT-101E(後期型)を
修理調整したは良いが管のカットオフを決めるバイアス電流がフラフラ
して追い込めないので困って居ると来た。

通常疑うのはレクチファイヤ基盤に実装されているバイアス制御用の
半固定抵抗(不良確立大)のガリで有る。同規格の半固定抵抗はまだ
入手出来る見込みとの事で部品交換をアドバイスしたのだが、それでも
NGらしい。

具体的な症状を掘り下げて聴くと、電流値を示すメータがゆっくりと上下
し(針幅3~4本分)まともに安定しないらしいとの言。

真空管式無線機の特徴で、球の中和調整が不足だと脈動ポンプの圧力
表示の如くメータが震える事があるのだが、カットオフ電流が決められない
と中和調整作業に進めないジレンマがある。
(ピッチの早いメータ振れは大抵中和不良だ)

中和位置は球を変えても(6JS6A東芝製造分と6JS6CNEC製造分
は少しだけ中和ポイントが違うが)大幅に変わる事は少ないようだ。※
(※DIPポイントや出力にも関わるので筆者は入念に調整している)

写真が送られ拝見したのだが、特段配線ミスや発振する要素は無い様に
見えた。

・・・と成ると・・・

残るポイントは元の整流回路周りで有るが、これも部品交換をされて
居る様である。これではアドバイスのしようが無い・・・

同じ症状はどうやったら出るのかテスト用のマシン(同型)が有るので、壊しても
良い真空管を入れて似た状況を再現しようと試みる。
ファイナルボックス内の中和コンデンサは大幅に狂う点に合わせる。

電源スイッチを入れたと同時にバババッ!ジィーと盛大に発振する(笑)
本当に嫌な音だ。(球がそろそろ寿命かも知れぬ)

一旦電源を切り、中和バリコンを元の位置へ合わせる。
再度、電源を投入するが大きく中和が外れて居ないので発振は無い。
次にヒータオンを行い暖気させる。

球が温まって来た様なので、アイドリング電流を見る。
60ミリアン(目盛り3つ分)で針は動かない・・・・筈だが・・・・?
え?動く?なんじゃこりゃ?こりゃドツボに嵌るわな。
暫くブツブツが始まる(大体がちきしょう~何だよコレとかで有る 笑)

・・・それで、文頭の話に戻る

結論を書こう。中和やファイナル不良では無い。

AC100Vの電圧変動がもろにメータに現れるからだ。
昔のトランスを抱いて居る交流機は、1次側の電圧変動を素直に拾う。
途中にでかいコンデンサ※やらDC回路が入っていたとしても、お構い無く
末端電圧や電流に現れる事を忘れて居た。
(※2次側負荷変動には耐えるが1次側が動くと駄目)

下記画像をご覧頂きたい。これは筆者シャックのAC電圧をMAX
MINと分けて撮影したものだ。

階下に設置して居る、ある機器を動かすとこうなるのだ。

(※外乱を全く拾わないテスタ使用 30秒測定)

最高電圧 AC103.4V

イメージ 1

最低電圧 AC100.6V

イメージ 2

電圧差  AC  2.8V

30秒間測定しただけで、実に電圧が変化する。基準電圧が2.8Vも
変動すると、どうなるか簡単に計算して見よう。
スケールが100だと2.8の差は少ないと感じるようだが、それは違う。

・100Vを降圧して10Vで使う場合(10:1のトランスを想定する)

最高電圧(1次) 103.4V⇔ トランス2次側出力 10.34V

同様に・・・

最低電圧(1次) 100.6V⇔ トランス2次側出力 10.06V

電圧差 0.28V

桁を下げると、電圧降下や変動がいかに大きいかお分かり頂けると思う。
基準電圧の変動は正直にバイアス表示の電流値に影響を及ぼして居る
事が一目瞭然だ。(良く見ると変動に伴い出力も1W程度上下するようだ)

階下にある不定期な電圧降下を起こす機器とは・・・

インバータや回転機器、そう洗濯機が主で有る。
洗濯メニューに寄って負荷状況が異なると思うが、洗濯機のロードは
間欠的で有る。つまり・・・

10秒程度遠心加速して2秒停止とか
5秒でフル加速して1秒停止、3秒加速2秒停止などメーカ決定した
運転プリセットによってバラバラだ。

モータ加速中は当然幹線の電圧が低下し、停止すると電圧は上昇する。
最近では洗濯物重量をロードセルが感知して運転モードを決定する高級機
が存在し、更に負荷が急激に変動する機種まで有る。

これをFT-101が拾って居るのだ。
試しに洗濯機を止め、AC電圧を測定すると104Vピッタリで微動だに
しない。バイアス電流のメータを見ても一向にふらつかないのである。

先のバイアス調整が出来ない方へ再度連絡を取ると・・・・

リプライ<本人の了承を得て若干文体を変えてあります>
(帰って来て調整しようとすると、奥方が洗濯機を回して居る事が有る)
(飯が不味い)
(誰かと交信して楽しそうにして居るとチクチク云われる 以下略)

筆者
(負荷変動の無い土日深夜に眠くとも根性で調整して下さい。お大事に。)

・・・で有る。

これにて終了。と云いたいが、根本的に解決する方法が有る。

動力AC200Vの採用だ。最後に下記画像を見て欲しい。

イメージ 3

筆者の足元までAC200Vが来て居るのだが、昼夜を問わず※電圧が
安定している。
(※太陽光グリッドや工場が近い場合はそうでもない)

もし各局が使用している無線機や電源が200V対応であれば積極的
に採用して見てはどうだろうか?
ドツボにも嵌らず、洗濯機の妨害にも負けない調整・運用が出来る筈だ(笑)
旧い無線機(TS-520とかも同じ)も同じだ。

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